ASUSのゲーミングUMPC「ROG ALLY」のレビューです。呼び方は「アールオージー エイライ」といい、#playALLYourgames すべてのゲームを1台でという名前の由来がある。
スペック
型番 | RC71L-Z1E512 |
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | AMD Ryzen Z1 Extreme プロセッサー |
GPU | AMD Radeon グラフィックス (最大8.6TFlops FP32) |
メモリ 標準/最大 | 16GB/16GB |
ディスプレイ | 7.0型ワイドTFTカラー液晶 グレア 1,920×1,080ドット (120Hz) タッチ対応 |
SSD | 512GB (PCI Express 4.0 x4接続) |
Windows Hello | 指紋認証対応 |
センサ | 加速度センサ、ジャイロセンサ |
Wi-Fi | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (Wi-Fi 6E) |
Bluetooth | 5.1 |
インターフェース | USB3.2 (Type-C/Gen2) ×1 microSDカードスロット(UHS-II対応) マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック×1 ROG XG Mobileインターフェース搭載 |
サイズ (突起部除く) | 幅280.0mm×奥行き111.38mm×高さ21.22~32.43mm |
質量 | 約608g |
価格 | 109,800円 |
AMD Ryzen Z1 Extreme ではなく、AMD Ryze Z1 という控えめな性能で価格を抑えたモデル(型番:RC71L-Z1512)も、2023夏以降に発売予定となっています。CPU/GPU性能以外は全く同じ、価格は2万円安い89,800円。
外観
7インチのタッチディスプレイは、IPS液晶、120Hz、500nits、Gorilla Glass Victusを採用。背面の左右にマクロボタン。スリットはダブルファンの通気孔になっていて、裏からすって上に出す仕組み。騒音値は少なく手が当たる部分は熱くなりにくいです。画面が一番温かくなるかな。
左側に、左スティック、方向ボタン、表示ボタン、コマンドセンターボタン。右側に、右スティック、A/B/X/Yボタン、メニューボタン、Armory Crateボタン。左右下側にあるスリットはオーディオスピーカー。
上部に、指紋センサー内蔵の電源ボタン、音量調節ボタン、USB3.2 (Type-C/Gen2)/DisplayPort1.4/電源入力コンボポート、microSDカードスロット、マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック。左右に、2つの排熱孔、トリガーとバンパーボタンが各2つずつ。下側には何もなく、こちらにも充電できるType-C端子が欲しかった。
パッケージの上蓋にスタンドが収納されています。厚紙の簡易的にものだけど、これがけっこう便利に使えた。次のモデルでは自立するのを期待したい。
付属しているのは65WのACアダプター。コードの長く2mほどありました。ROG ALLYの開発には5年ほどかかったようです。グリップ部分は、間違ってボタンを押してしまわないエルゴノミックデザインとか、手汗で滑らないようなROGトライアングルテクスチャーなどこだわって作られているようです。@TheSoujiroさんが公開している内覧会の動画を参考に。
ベンチマーク
ASUSが公開しているゲームプレイスコア。ROG ALLYはACアダプタを接続し給電しながらのTurboモード(30W)で、ゲームの設定はデフォルトで計測してたテスト結果です。
PCMark
総合的なパフォーマンスを計測できるPCMarkで、オペレーティングモードをそれぞれ、給電しながら(AC)とバッテリー駆動(DC)でどの程度の違いが出るか計測。Windowsモードはゲームプロファイルの構成から設定できます。
3DMark
Turboモードの給電有りと無し、パフォーマンスモードの給電なしで、Time Spy、Fire Strike、Night Raidでそれぞれ計測。マウスホバーもしくはタップで数値の確認ができます。
RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG XG Mobile GC33Yを拡張するとスコアは段違い。
- Time Spy:16988
- Speed Way:5025
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
Turbo35W(AC) | Turbo25W(DC) | パフォーマンス15W(DC) | |
標準品質 1920×1080 | 3055 普通 | 2988 やや重い | 2970 やや重い |
軽量品質 1920×1080 | 3635 普通 | 3735 普通 | 3788 普通 |
標準品質 1280×720 | 4916 やや快適 | 4966 やや快適 | 4891 やや快適 |
軽量品質 1280×720 | 5727 やや快適 | 6075 快適 | 6157 快適 |
少しおかしい?Turboとパフォーマンスで逆にスコアが良くなっているところもあります。計測するたびに数値は変わるので参考程度にですね。
RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG XG Mobile GC33Yを拡張すると。
- 標準品質 1920×1080:14598 非常に快適
- 最高品質 3840×2160:6919 快適
サイバーパンク2077
上側が1920×1080、下側が1280×720、クイックプリセットはデフォルトの中で計測。なぜか最低FPSが1280×720の方が低くなるという結果が出ています。設定についてはROG ALLYのサイバーパンク2077設定も参考に。
RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG XG Mobile GC33Yを拡張すると。
- レイトレーシング ・オーバードライブ 1920×1080 DLSSオン:平均FPS 99.22 最低FPS44.43
ストリートファイター6
NORMAL 1920×1080 | LOW 1920×1080 | |
Turbo 35W(AC) | 50/100 設定変更が必要 | 100/100 快適にプレイ |
Turbo 25W(DC) | 50/100 設定変更が必要 | 93/100 快適にプレイ |
パフォーマンス 15W(DC) | 50/100 設定変更が必要 | 93/100 快適にプレイ |
NORMAL 1920×1080では、50/100 設定変更が必要。LOW 1920×1080にするだけで「100/100 快適にプレイできます」となった。別記事で体験版を試したり、その他の画像もアップしているので参考に。
RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG XG Mobile GC33Yを拡張すると。
- HIGHEST 1920×1080:100/100 快適のプレイできます
CrystalDiskMark
シーケンシャルリードは4,330MB/s、ライトは1,831MB/s、ストレージ速度は快適。ROG STRIX ARIONをType-C接続で接続したときのデータ移行も快適でした。すでにダウンロードしてある大容量のPCゲームがあるなら移動してしまった方が楽ですね。
microSDカードについてももいろいろ試してみたので参考に。
バッテリーテスト
Xbox Cloud Gamingをサイレントモード(9W)でどれだけ持つか試してみました。テスト時には、ライティングはオン、リフレッシュレート120Hz。オフにしたり60Hzにすればもう少し持つかも。
電池残量 | 減少値 | 減少差 | |
30分 | 89% | 11% | 11% |
1時間 | 72% | 28% | 17% |
1時間30分 | 54% | 46% | 18% |
2時間 | 37% | 63% | 17% |
2時間30分 | 19% | 81% | 18% |
3時間 | 5% | 95% | 14% |
Turbo(25W)でサイバーパンクをやってみたところ、約1時間しか持ちませんでした。パフォーマンス(15W)ではライティングオフ、リフレッシュレートを60Hzにし、79%から1時間やったところ残り17%、62%減少。
MyASUSにはバッテリーケアモードがあり、80%までの充電に制限しバッテリーの劣化を軽減してくれます。ACアダプターつないだままゲームをすることが多いならオンにしておくとよいです。
使い方
左側下の白いボタンはコマンドセンターボタン。これを押すと、オーバーレイでコマンドセンターが開きます。様々な機能の操作ができ、レビュー中にアップデートで音量や電源操作が追加されたりした。並んでいる機能については、Armory Craeの設定から、追加・削除・並び替えができます。
右側下にはArmory Crateボタン。Game Libraryでゲームの追加や削除などの管理や、ゲームごとにプロファイルを設定できたりします。ゲームを選択してあお枠で囲まれている状態からXボタンを押すとゲームプロファイルの編集ができる。
【追記】Armory Crateの長押しでキー入力一覧の表示ができるようです。コマンドセンターボタンの長押しには、Windowsのショートカット機能「Ctrl + Alt + Delete」が割り当てられていてユーザーの切り替えなどのメニューが表示される。
ゲームプロファイルでは、キーマッピングでキーの割り当てや、左右スティックやトリガーのデッドゾーンや振動の調整など、ゲームごとに細かなカスタマイズができます。コンビネーションキーで、最大5つのキーを割り当てたり、背面にあるマクロボタンと同時押しのショートカットキーなんかもあります。
使い方については別記事でもっと詳しく解説しているのでそちらを参考に。ただしアップデートにより仕様が変更になる可能性もあります。
ROG XG Mobileの拡張
外付けGPUの「ROG XG Mobile」を拡張できるの魅力です。ただ設置イメージではスマートに見えるけど、コードが太くて短いため接続しにくいところはあります。電源コードの長さは十分。それと赤く光るROG XG Mobileのファンは、ROG ALLYでは消灯できないようです。ROG Flow Z13 GZ301VVでは消灯できたので、今後アップデートで追加されるのか。などなどデメリットはあるけれど、拡張される性能はヤバいです。
サイバーパンク2077で、最新のパストレーシング技術に対応したレイトレーシング・オーバードライブモードを試してみました。少し見にくいところもあるけれど、光の当たり方の描写がとてもリアルで没入感はすごいです。これは大画面にして遊びたくなる。負荷のかかる処理でもDLSSを有効にすることでフレームレートもあからさまに安定し動作は快適。ただしこれを試せるのは、RTX 4090 Laptop GPUを搭載したROG XG Mobile GC33Y、価格は約40万円と高額です。
ROG Flow Z13 GZ301VVと比較
キーボードを取り外せるデタッチャブル2in1パソコン「ROG Flow Z13 GZ301VV」でもROG XG Mobile GC33Yの拡張を試していました。ROG ALLYと接続した時とどれくらいの性能差になるか気になっていたので比較してみます。
左ROG ALLY、右ROG Flow Z13 GZ301VVです。3DMark Time Spyは、GPUスコアは当然ほぼ同じ、CPUスコアが3490少なく、ゲームパフォーマンスに15FPSほどの影響が出ていた。ちなみにROG Flow Z13 GZ301VVに搭載されているCPUはCore i9-13900Hです。
Speed Wayはレイトレーシングの性能テスト。これはCPUで大きな違いは出ていない。
ROG XG Mobile は搭載しているGPUの違うモデルもあります。インターフェースは同じでどれもROG ALLYに接続可能です。ただし最新のパストレーシング技術は、RTX 40シリーズでないと対応していません。購入を検討しているなら性能差は理解しておくように。
Xbox Cloud Gamingと相性抜群
ROG ALLYには、Xbox Game Pass Ultimateが3か月分含まれています。数百に及ぶゲームを楽しめるサブスクリプション月額1,100円×3か月を無料で試すことができる。これは加入した日から3か月のため、月初めとか気にする必要もないです。ゲームはインストールしてもいいし、インストールしなくてもクラウドゲーミングで遊べるのが便利なところ。
Armory Crateのゲームライブラリに初めから追加されていて、ここからゲームの管理をする。おすすめはインストールせずに楽しめるXbox Cloud Gaming。ただし通信環境が安定していないとストレスになるため、容量に余裕があるならインストールしてしまうのも良いです。自分の環境では、Xboxアプリからだとラグが多いため、ブラウザからアクセスすることの方が多い。
ブラウザからアクセスすると、コントローラーの接続を求められますが、そのまま続行で問題なく操作できます。全画面にするには左上のメニューを開くかF11でも可能。これには裏技があり、Armory CrateのGame Libraryの追加から「LB」もしくは「RB」を押すと、Microsoft Edgeなどのブラウザも追加できます。ゲームプロファイルのキーマッピングにF11を追加するとかなり便利になるんです。Xboxアプリからだとストレスになるときはブラウザを試してみてください。
これらの使い方などは別記事も参考に。
そしてなぜ「ROG ALLY」と「Xbox Cloud Gaming」の相性が良いかというと、コントローラーをわざわざつなげる必要がないから。パソコンやスマホでもXbox Cloud Gamingはできるのですが、コントローラーがないとできないゲームや、タッチだとやりにくかったりするためほぼ必須なんです。これが一体型のROG ALLYと通信環境させあればスムーズに楽しめます。
とはいえ、やりたいゲームがなければ意味がない。どんなゲームがあるかXbox Game Pass で確認してみてください。遊べるゲーム次第だけれど、この便利さはあまり認知されていないような気はします。
Google Play Gamesにも期待
Android用のスマホゲームをPCで遊べるGoogle Play Gamesも試してみました。基本はタッチ操作で、キーボード操作に対応しているゲームではキーボード/マウスマッピングに、足りないものをキーマッピングで追加する感じ。
タッチ操作であればROG ALLYを逆さにし、下側から給電をして遊ぶこともできそうです。個人的には下からも充電したかったので、こんな使い方もありなのかな。回転ロックの解除はWindowsのクイック設定にあり、縦向きのゲームにも対応します。
まだまだゲームは少ないのでこれからといったところ。ROG ALLYはジャイロセンサーも搭載しているので、遊べるタイトルが増えればROG ALLYがさらに面白くなりそう。Xbox Cloud GamingとGoogle Play Gamesこの2つはぜひ試してみてほしい。
ちなみにAmazonアプリストアからもスマホアプリのインストールができます。ただし、ここも対応アプリは少なく、リリースしてからしばらく経つのにしたのに新しいアプリが追加されそていないのは残念な感じ。Amazonアプリストアはあまり期待できなそう。
メリットとデメリット
メリットとデメリットを簡潔にまとめるとこんな感じ。
やはり、PCゲームをどこでも気軽に遊べるというのが最大のメリット。PCの前に座らなくてもソファやベッドで横になりながらでも楽しめるのは、一度体験してしまうと抜けられなくなる。それにXbox Cloud Gamingとの相性は抜群で、ROG Ally 1台で完結してしまうのは最高です。また観点は違うけど、パソコンとしての性能も快適で、キーボードやマウス、画面拡張をすれば通常通りに使えるのにも注目してほしい。新しいパソコンとして購入してしまうのも悪くない。
逆に何でもできるがゆえに、知識のない人がゲーム機として購入するのは避けてほしいです。これはWindowsに慣れている人ならデメリットにはならず、一般的に難しいのでは?ということ。それと少しArmory Crate SEの動作が不安定なところもあります。これについてはアップデートで改善されるのを待つしかないかな。あとは、バッテリーの持ちについて。負荷のかかるゲームをすればそれだけ消費電力も多いもの。しかし携帯ゲーム機に慣れている人からすると物足りなくなるのではないでしょうか。
ASUS Strore限定30日間返品保証キャンペーン
ASUS Stroreからの購入のみが対象となるROG Ally発売記念キャンペーンをしています。
キャンペーン期間中に、対象商品をご購入、製品到着日より30日以内のお申込みでご購入代金を返金いたします。
キャンペーン期間は、2023/06/02 ~ 2023/7/31までとなります。対象外となる場合など、キャンペーン規約はASUS Stroreを確認してください。
ROG Ally Travel Case
ASUS Stroreで一緒に販売しているROG Ally専用のトラベルケースは、中にあるカードポケットが可動式で、本体を立てかけるスタンドとしても使えます。マジックテープで止めている簡単なものですが、よく考えて作っていると感心しました。本体 約608g + ケース 約189g とそれなりの重量になるけど、これも欲しいところ。
レビュー投稿でROG Ally Travel Caseがもらえるキャンペーンもしています。詳しい情報は公式サイトを確認してください。
まとめ
Windowsの扱いに慣れている人には最高に遊べるデバイスでした。逆に簡単にPCゲームができる小型機として考えてしまうと、扱いは難しいから手を出さない方が良いです。ですが、Xbox Cloud Gamingの快適さが認知されたり、Google Play Gamesのタイトルが増えれば需要は爆上がりしそうな気がします。同じ価格帯のゲーミングスマホはいらなくなるかも。
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