キーボードを取り外せるデタッチャブル2in1パソコン「ROG Flow Z13 GZ301VV」のレビューです。外付けでGeForce RTX 4090 Laptop GPUを搭載した「ROG XG Mobile GC33Y」の拡張もでき、省スペースでも妥協しない多目的デバイスになる。
スペック
ROG Flow Z13 | ROG XG Mobile | |
型番 | GZ301VV-I9R4060 | GC33Y-021 |
CPU | Core i9-13900H | ー |
メモリ | 16GB LPDDR5-5200 | ー |
SSD | 1TB (PCI Express 4.0 x4接続) | ー |
GPU | RTX 4060 Laptop GPU | RTX 4090 Laptop GPU |
ディスプレイ | 13.4型グレア 2560×1600(165Hz) タッチ対応 | ー |
セキュリティ | 顔認識 | ー |
駆動時間 | 約8.8時間 | ー |
サイズ | タブレット 幅302mm 奥行き206mm 高さ14.3mm デタッチャブルキーボード 幅302.8mm 奥行き228.12mm 高さ5.6mm | 幅217mm 奥行き165mm 高さ32.6mm |
質量 | タブレット:約1.2kg デタッチャブルキーボード:約350g | 約1.3kg |
価格 | 339,800円 | 399,800円 |
ROG Flow Z13 GZ301シリーズには、RTX 4050 Laptop GPUを搭載した「GZ301VU-I9R4050」と、RTX 2050 Laptop GPUを搭載した「GZ301VF-I9R2050」という価格を抑えたモデルもあります。
外観
ROG Flow Z13 GZ301VV
サイズ13.4型、比率16:10、解像度2560×1600、リフレッシュレート165Hz、応答速度3msのディスプレイに、取り外し可能なキーボードの付いたタブレット型の2in1パソコン。薄型タブレットでこの性能はヤバい。
キーボードの接続コネクタはかなり強力な磁力でくっついてくれます。キーボードカバーは、柔らかいファブリック調の素材。端の部分は薄くなっていて指にかかり開きやすいデザインになっているが耐久性は気になるところ。
キーボードは3段階のバックライト、他のROGデバイスと同期するAura Syncのライティング、キートラベル距離1.7mm、Nキーロールオーバーにも対応。本体と磁力でついている傾斜のあるスタイルからフラットにして使うこともできる。
背面のキックスタンドを開いて自立し、傾斜したキーボードが基本スタイル。開閉の最大角度は160度ぐらい、無段階の角度調整に対応するためタッチ操作やペン入力にも自在に使えます。インターフェースは、左側面に、USB Type-C、XG Mobile接続コネクタ、スピーカー。右側面に、電源、音量、USB Type-A、マイクロフォン/ヘッドフォン・コンボジャック、スピーカー。
本体上部の左右に排気孔が2つ。背面のキックスタンドを開いた中にはSDカードスロットも搭載している。SDカード(白に赤いライン)を挿しこんでみたところ、カチッというような反応はなく、単純に抜き差しするだけの仕様でした。
背面の上部左右にスリットがあり、ここから吸気して上部に排気。フル稼働させると中央部分が熱くなるが、一般的なゲーミングノートPCとは違い熱がこもることはなく効率は良さそう。右上のアウトカメラは、パノラマ撮影、ドキュメント、ホワイトボード、バーコード(QRコード)の読み取りにも対応する。電源を入れると、スケルトンのデザイン部分が内部からライティングされます。
ACアダプターは130W。コンセントに差し込む側のコードが太めなのはしょうがないのだろうか。XG Mobile接続コネクタには、USB Type-Cもあり単体で使うこともできます。充電も問題ないため、付属のキャップは使わないでしまっておくのが良さそう。
ノートパソコンモードで充電するときは、XG Mobile接続コネクタのUSB Type-Cを使うとスマートです。タブレットタイプではよくある上部からコードが出ている違和感を防げる。
ROG XG Mobile GC33Yを接続したときには、そこから給電してくれるため付属のACアダプタは使わなくて済みます。
外付けGPU「ROG XG Mobile GC33Y」
表面のスリットが吸気孔、中にファンがあり電源を入れると赤く光る。背面にはROGのロゴがあるだけのシンプルなデザイン。
背面のスタンドが斜めに開き自立する。接続するコネクタコードの側から排気する仕様で、冷却効率は良さそう。
インターフェースは、USB3.2 (Type-C/Gen2)×1、USB3.2 (Type-A/Gen2)×3、HDMI×1、DisplayPort×1、LANポート。上部にフルサイズのSDカードスロットもあり、この挿込口は半分程度。
接続コネクタはUSB Type-C+PCIe 3.0×8の専用端子。コネクタ外部をつまむと、両端の黒い棒にある金属の返し部分がへこんで取り出せる。接続するときは裏側のロックをしないと本体側で認識しない仕様。ロックをすることで金属の返しが動かなくなりなり外せない仕組みになっている。
ROG XG Mobile GC33Yの接続について
コネクタを接続し裏側のスイッチをロックするとROG Flow Z13 GZ301VV側で認識され、タスクバーのシステムトレイにROG XG Mobileのアイコンが追加される。そのアイコンから接続作業となるが、GPUモードをUltimateにしていた場合は再起動が必要になります。
再起動後にアイコンをクリックするとDDS設定が表示され、クリックすると右下にラップトップディスプレイモードの切り替えが出てくる。これをOptimusに変更し、再びROG XG Mobileのアイコンをクリックすると、アクティブ化の表示となりOKで切り替え。
処理中の表示が終わると「現在、グラフィックスは ROG XG Mobile から供給されています。」と通知され接続完了。接続しているときはコネクタのLEDが赤く点灯します。
接続を解除したいときもシステムトレイアイコンから。OKをクリックして処理中となり、非アクティブ化することで安全に取り外せます。
非アクティブ化が完了すると、同じように通知されます。コネクタのLEDも消灯するので、裏側のロックスイッチを解除してからコネクタを抜く。
接続を解除するときに注意点が1つあります。USBメモリと同じようにパソコンがシャットダウンしている時なら外しても問題ないかと思ったらそうでもないようです。外してしまうとパソコンの電源をオンにした時に以下の画面が表示されます。
この画面が表示されたら、コネクタを再度つなぎロックをしてからキーボードの”Y”を押すこと。翻訳すると以下のような感じです。
XG Mobileが検出されない。
デバイスがスリープモードまたはシャットダウンしている間に、XG Mobileが抜かれました。
エラーや保存されていないデータの損失を防ぐため、起動する前にXG Mobile eGPUを再接続してください。
- XG Mobileを接続する
- コネクタの「アンロックスイッチ」を押して、ケーブルを固定します。
- [上記の手順で安全に起動する場合は、”Y”を押してください。]
[リスクを受け入れ、安全でない状態でブートするには、”N”を押してください。]
接続時に内部ファンが赤く光っているを消すこともできます。Armoury Crateのシステム設定にあるXG Mobile LEDをオフにすることで消灯。
Armoury Crate
Armoury Crateでゲーム機能の管理ができます。左下の方にファンスピードの調整。右下の方にGPUモードを切り替え。
- Windows
- サイレント
- パフォーマンス
- Turbo
- 手動
FNキー+F5でも、サイレント、パフォーマンス、Turboの切り替えに対応しています。電源を接続していないときには、Turboの選択はできない。
GPUモードは、Ultimate、スタンダード、エコモード、最適化の4つ。Ultimateにするには再起動をしなければいけないのが少し面倒。またUltimateした場合、エコモードと最適化に変更したいときはスタンダードに戻してから行う必要がある。ROG XG Mobile GC33Yを接続したときはGPUモードの切り替えはなし。
タブを切り替えると、ゲームランチャーや設定などがある。アプリ設定のAura SyncとGameVisualは切り替えのみ。設定は左側のアイコンから。GameVisualの切り替えは、FNキー+Vキーで切り替えにも対応する。システム設定は、Winキーや起動時の機械音を無効化したりもできます。ROGキーはFNキー+Spaceキー、タッチパッドはFNキー+F10のショートカットにも対応。ROG XG Mobile GC33Y接続時には、XG Mobile LEDの切り替えも追加されます。
特集にVirtual Petというアプリも搭載しています。これはROG独自のマスコット「OMNI」をデスクトップに常駐させるおまけのような機能。設定からサイズや透明度を調整したり、散歩モードで自由に動かしたりできます。実用的なのは、設定のツールから、CPU、メモリ、ストレージ、ネットワークを表示するぐらいか。
ベンチマーク
Cinebench R23
ファンスピードをTurboとパフォーマンスで計測。
CrystalDiskMark
ストレージのデータ転送速度はかなり高速。
3DMark Speed Way
ROG XG Mobile GC33Yの拡張時は赤で表示、ROG Flow Z13 GZ301VVのGPUモードをUltimateとスタンダードで計測。ファンモードはTurbo。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
初期設定の標準品質1920×1080で比較。ROG XG Mobile GC33YのRTX 4090 Laptop GPUなら高品質3840×2160でも8292快適というスコアが出ます。
Blender Benchmark
3DCG制作ソフトBlenderのベンチマークスコアです。ROG XG Mobile GC33Yをつなげるとスコアはかなり上がった。
DLSS 3 オンオフ比較
DLSS3は、GeForce RTX 40 シリーズで適用できるようになった新技術で、AI が追加のフレームを生成し、品質を向上してくれる機能。この DLSS 3 に対応しているゲームで、機能を有効にした時にどれぐらいフレームレートが上がるのか試してみました。RTX 4060 Laptopの動作時は、GPUモードをUltimateとスタンダードで計測。ファンモードはTurbo。
Cyberpunk 2077
解像度2560×1600、レイトレーイング:ウルトラ設定からDLSS Frame Generationのオンオフで計測。
追加でもう少し詳しい記事サイバーパンク2077ベンチマーク比較を書きました。
The Witcher 3: Wild Hunt
解像度2560×1600、RTウルトラ設定で、DLSSフレーム生成のオンオフで計測。
Marvel’s Spider-Man: Miles Morales
解像度2560×1600、アップスケール品質は品質で、DLSSフレーム生成のオンオフで計測。
Atomic Heart
レイトレーシングの設定はないため、DLSSフレーム生成のオンとオフで比較。今後追加されるのであろうか?また、計測ソフトのCapFrameXを起動すると1920×1200のウィンドウ表示になってしまい、初期値の2560×1600より高い数値が出ています。比較は参考値程度に。
HITMAN 3
フルスクリーンの解像度を2560×1600、レイトレーシングはサンシャドウと反射もオン、適応型スーパーサンプリング技術をNVIDIA DLSSにし、クオリティはウルトラパフォーマンス、NVIDIA Reflex低遅延オン。この設定からDLSSフレーム生成のオンオフで比較。
Warhammer 40,000: Darktide
解像度2560×1600、Super Resolution自動、レイトレーシング高の設定で、フレーム生成オンオフで比較。
Xbox Game Pass
Atomic Heart、HITMAN 3、Warhammer 40,000: Darktideの3タイトルはXbox Game Passを使用しました。ROG Flow Z13 GZ301VVには、Xbox Game Pass 3か月間無料の特典がついています。
HITMAN 3はSteamにあるデモでも試すことはできます。
GeForce RTX 4060 Laptop GPUで十分
計測結果を見てもわかるようにDLSS 3を適用することによって、高品質な画質を維持したままフレームレートを上げることができます。レイトレーシングで負荷を高めに設定していてこれだけ動くのであれば、GeForce RTX 4060 Laptop GPUでも困ることはなさそうだ。これからはGeForce RTX 40 シリーズ以外を選ぶ理由がなくなりそうな気がする。
ただし、ゲームタイトルによっては期待するほど上がらないものがあるかも。Xbox Game Passには、EA Play のメンバーシップもついているためF1 22でも試してみました。RTX 4060 Laptop GPUでは、DLSS 3オフの時の方が数値が高くなるという結果になっています。
ROG Flow Z13 GZ301VVの駆動時間
YouTubeの動画を再生してどのくらいバッテリーが持つか駆動時間を調べてみました。
- 画面輝度:75
- 音量:75
- ファンモード:サイレント
明るさと音量を高めに設定し、長時間動画をひたすら再生した結果です。レビュー用のサンプル機で計測しているため参考値としてください。
経過時間 | 電池残量 | 減少率 |
1時間 | 83% | 17% |
2時間 | 65% | 18% |
3時間 | 45% | 20% |
4時間 | 25% | 20% |
5時間 | 6% | 19% |
ちょうど5時間経過したときに「バッテリーの残量が少なくなっています。」というポップアップが表示されました。サイレントモードであれば、1時間で20%の目安で視聴できそう。これだけ持ってくれれば、リビングや寝室に移動しても快適に使えますね。
計測は終了し、しばらくしてから1時間の充電をしてみたところ、4%から89%に増加。動画の再生は継続しながらでも85%回復してくれました。製品ページには、急速充電30分で50%、バッテリー充電時間(おそらく満充電)は約1.7時間と記載があります。
ROG XG Mobile GC33Yの拡張性は魅力
以前に外付けSSDを自作したROG Strix Arionをつないで、転送速度を調べてみました。Type-CとType-AともにUSB 3.2 Gen2規格なので10Gbps、転送速度は最大1,250MB/sになります。
ROG XG Mobile GC33Yのコネクタを経由して読み書きをするため、転送速度は少し落ちるようです。しかし、これだけの速度が出ていれば快適に使えると思う。実際に「Atomic Heart」や「Marvel’s Spider-Man: Miles Morales」を試してみてもロード時間の差はほとんど感じなかった。
USB Type-Aでも同様に転送速度は少し落ちました。Type-AでもType-Cと同様の速度が出ると、外付けSSDの選択肢も増えます。前のROG XG Mobile (2022)モデルではType-A/Gen1×4という仕様だったため、拡張性が増してより便利になっている。
外付けSSD、コントローラー、キーボード、マウスなど全てつないでおけばゲームをするときにだけ拡張するという使い方もできそうです。LANポートもあるし、DisplayPortやHDMIでディスプレイの拡張にも対応する。ROG XG Mobile GC33Yに搭載しているUSB Type-Cは映像出力には非対応。ROG Flow Z13 GZ301VVのUSB Type-Cの方は映像出力にも対応しているため4画面にすることもできます。
また、非アクティブの状態で接続している場合でも、USBやLANポートはハブとして機能します。DisplayPortやHDMIといった映像出力に関してはアクティブ状態でないと機能しません。
購入先
ROG Flow Z13 GZ301VV (GZ301VV-I9R4060) ROG XG Mobile GC33Y (GC33Y-021)まとめ
GeForce RTX 40 シリーズは、NVIDIA DLSS 3のAI技術によって飛躍的に性能が向上していた。薄型のタブレットPCだけでも満足のいくレベルで遊べる時代になるとは驚きです。さらにROG XG Mobile GC33Yの拡張性も優秀。デメリットを上げるとするなら、高額なのと接続がもっとスムーズになればといったところ。価格を抑えたモデルもあるけれど、RTX 4060 Laptop GPUを搭載したROG Flow Z13 GZ301VVこれ一択ですね。
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